― 省エネ型のエンジン発電機を東芝機械、東芝産業機器システムと共同開発しました。
「開発の話が持ち上がったのが今から5年前だ。一般的なエンジン発電機の場合、周波数を一定に保つためにエンジンの回転数を固定して運転しており、発電機に負荷があまりかかっていなくても燃料を消費していた。そのため省エネする発電機を製品化したいと考え、当社の技術者の思いもあって開発に取り組んだ。関係者からは半年ほどでできあがるとの見通しだったが、実際は4年かかった」
― 思ったよりも開発期間が長かったのでは。
「時間をかけて製品化したのはうれしいことだ。それだけ他社が簡単にまねできない発電機を開発できたためだ。難しければ難しいほど、他社がなかなか近づけないレベルの製品ができあがる。『できないという理由がない限り、できるはずだ』との思いで取り組んだ。東芝機械と東芝産業機器システムに開発に向けた要求を出した際に、2社とも『できない』と言わずに開発に携わってくれた。各社がかかりっきりになって作り上げ、技術者冥利(みょうり)に尽きる発電機だ」
― これまでとは異なるコンセプトの発電機です。
「発電量に応じてエンジンの回転数を制御する仕組みだ。燃料の消費量を最適化でき、従来のエンジン発電機と比べて燃費を最大約60%改善した。省エネに向けてはインバーターによる出力の制御も重要だ。開発した発電機が認知されるにはある程度時間がかかるだろう。どのようなお客さまを獲得できるか見通せていない部分もあるが、災害時の用途としての展開も期待できる」
― 顧客の開拓戦略は。
「東日本大震災の発生で改めてクローズアップされたのが発電機だ。社会の根本的なインフラとしての電気がこれほど必要不可欠なものとして重要視され、その補完的役割としての発電機が脚光を浴びた。その中でこの新型発電機のパフォーマンスが、こうしたニーズにうまくはまってくれればと考えている。各自治体での防災体制の強化に向けた設置も見込める。またEVの充電にも利用できる」
― 圧縮した空気に潤滑油の成分が入らない「オイルフリー」で屋外に設置できるコンプレッサーも販売しています。
「業界にないコンプレッサーとして製品化したのが『SMADシリーズ』だ。オイルフリーのため、食品、医薬品、半導体製造などの工場でニーズが高い。他社製のコンプレッサーと比べてコンパクトで使い勝手がよく、屋外に設置できるため機動性が高い。これまで大型のコンプレッサーを工場全体で利用していたが、小型のコンプレッサーを複数台導入し、分散して設置することで大きな省エネ効果を得られる。そのためSMADシリーズもコンパクトな製品の品ぞろえを重視する」