SAMSUNG Eco Innovation Day?性能を犠牲にせず環境も守る、最先端かつ最高の能力を誇るサーバー用メモリーとは? サムスン電子ジャパン | SAMSUNG ELECTRONICS JAPAN


第一部 「サムスン・グリーン・サーバー・ソリューションの展開計画」
日本サムスン メモリーエンジニアリング グループ 次長  高木 忠吉
■概 要
データセンターの経営や運営管理においてコストに対して効率化とサービス向上につながる新たなアイディアを常に捻り出すことは簡単ではありません。さらに、環境保護のための省エネや廃棄物の削減などを意識したビジネスの展開も重要になっています。
サムスン電子は、半導体産業で培った信頼と製品力をもって、エンタープライズ用グリーンメモリーソリューションを2009年以来継続して提案してきました。今回はサムスン電子の第4世代のサーバー用グリーン・サーバー・ソリューションの開発成果及び適応について紹介致します。

第二部 「データセンタ運営を高い効率と性能面で支援するサムスン電子のソリューションについて」
日本サムスン 副社長 犬飼 英守 氏/コーディネート:日刊工業新聞社 編集委員
■概 要
サムスン電子が積極的に展開しています「サムスン・グリーン・ サーバー・ソリューション」の優れた性能はどこにあるのでしょうか。
サムスンのグリーン・サーバー・ソリューションは、お客様の目につくことはありませんが、限られた予算で高いパフォーマンスを実現したり、かつ、高いサービス品質と信頼性を維持し、省エネにも努めなければならないサーバーの管理者やデータセンターの経営者の方に、少ない費用で新規システムはもちろん、既存のシステムまでも高性能化を実現し、高い投資IT効率を具現するシステム構築方案を提案します。



高木忠吉氏 第一部
「サムスン・グリーン・サーバー・ソリューションの展開計画」

日本サムスン メモリーエンジニアリング グループ 次長
高木 忠吉

  本日はグローバルITとデータセンターの現状をご説明しながら、弊社が第4世代という位置づけで進めているグリーンメモリーについてご紹介します。また、2013年以降の弊社の計画、方向性についてもご紹介させていただきます。
 まずは世界のIT動向を紹介します。ソーシャルネットワークサービス(SNS)の利用者が増えて、個人ネットワークが汎用化しています。スマートフォンやタブレットPCといったモバイル機器が爆発的な勢いで増加し、結果としてインターネットにつながる機会が増えています。

図1

  このグラフ(P3)は1960年からコンピューター業界を牽引してきたものを追ったグラフです。その60年代は企業の基幹業務などに利用される大規模な汎用コンピューター、いわゆるメーンフレームの時代でした。そこでネットワークに接続されているコンピューターの数は100万台レベルでした。しかし90年の半ば、PCが普及して1億台を突破しました。2010年前後にスマートフォンが登場、さらにはフェイスブックやユーチューブといったSNSの発達や利用者の増加によって、今や100億台を超えるデバイスがネットに接続されている状況になっています。2020年にはそれがさらに進み、約1000億台のデバイスがネットに接続される時代が来ると予測されています。
 情報ネットワークに関するインフラを構成する重要な要素の一つが、データセンターです。ネットワークに接続されるデバイスが増えると、データセンターの役割が大きくなり、需要が増加します。現在、「スマート化」という言葉が多く使われていますが、スマート化のために大量のデータがネットの世界を動いているという状況にあります。15年には01年比12倍の82エクサバイト(1エクサバイトは100京バイト)程度のデータ転送量が発生すると考えます。それに比例してデータセンター内にあるストレージのスペースも、11年から15年で見ると、5倍程度になると考えます。データ転送量が増えることによって、ストレージスペースの需要も上がってくると思います。
 データセンターが増えるということは電力使用量も増えます。そこで弊社は、データセンターの電力使用量を抑えるためにグリーンソリューションを提案しています。

図2

 こちら(P5)に2つのラインがあります。オレンジラインは伝統的な方法、つまり熱や消費電力などに配慮していない技術を使っており、11年の消費電力は毎時1245億キロワットでした。一方、消費電力を抑制する技術を使うグリーンラインでは毎時1074億キロワットで、電気料金に換算すると12億ドル節約できました。
 しかし15年には、オレンジで16%アップ、グリーンでも12%アップとなってしまいます。どちらの方向に行っても、さらなるエネルギー効率の向上を考えなければなりません。弊社は新たな技術を入れることによって、より一層、電力消費を抑えることが可能だと考えています。
 データセンター内でのメモリーの消費電力を見ていきましょう。

図3

 IT機器だけで消費電力量全体の56%を占めます。機器にはCPUなども含まれますが、メモリーだけ見ると、メーンメモリーとして使用するDRAMが8%、SSDとHDDというストレージで10%と大きな割合を占めています。さらに、メモリー空調まで考えると、データセンター全体でメモリー関連の消費電力は全体の32%に達します。
 そのような環境の中で、弊社はグリーンメモリーという製品を展開しています。09年に第1世代が登場したグリーンメモリーは現在、第4世代になりました。第1世代はサーバーに搭載するメーンメモリーのレジスタードDIMM(大きなメモリー容量や安定した運用が必要とされるサーバーなどで利用されるLSIを内蔵したメモリーモジュール)が中心で、回路線幅40ナノメートル台のDDR3で記憶容量が2ギガビットというものでした。グリーンメモリーの第1世代はDDR2に比べて消費電力が少ないということがあり、これがスタートポイントになりました。第2世代ではプロセスシュリンク(回路線幅の微細化)を進め、30ナノメートル台、さらには記憶容量も4ギガビットまで上げました。
 昨年、第3世代ではメーンメモリーでプロセスシュリンクをさらに進め、20ナノメートル台に突入しています。そこにNANDフラッシュを利用したストレージであるソリッドステートドライブ(SSD)が登場しました。このストレージとメーンメモリーの2つを合わせて低消費電力化を図っていこうというのが第3世代です。
 そして第4世代。基本的には第3世代と同じくSSDとDRAMの組み合わせです。しかし、SSDで中に使用しているNANDフラッシュはプロセスシュリンクで回路線幅が20ナノ台のメモリー時代に突入しました。DRAMも同じ20ナノメートル台ですが、20ナノメートル台前半の微細プロセスを使うので、さらにパワーが下がります。サーバーにSSDを使うことでソリューションを革新したり、NANDとDRAMでプロセスシュリンクを続けることによって、一層の低消費電力化に取り組んでいます。
 第3世代から登場したSSDですが、第4世代では低消費電力化と、高性能化という相反する二つの性能を同時に可能にするパラドックス技術を実現しました。
 低電力化ではコントローラーのリーク電流を減らすようなアーキテクチャーを独自に開発して、50%削減しています。また、搭載しているNANDフラッシュでは1.8ボルトに低電圧化して、45%低減しています。高性能化については、ファンクションを上げてコントローラーを1.5倍に、NANDのインターフェースにトグル型を採用することでさらにスピードアップしています。

図4

  これ(P10)は実際のパワーで、薄いグリーンがハードディスク(HDD)です。20ナノメートル台のNANDを搭載した第4世代は、30ナノメートル台の第3世代と比べて33%減、HDDと比較すると第4世代では79%消費電力が削減できることになります。
 SSDはHDDのようなヘッドがないので、読み出しと書き出しスピードはHDDの267倍です。最近はサーバーのみならずPCでも使われています。個人的なPCでもこのスピードを体感できます。弊社は日本市場でも高速の最新製品である「SSD840シリーズ」と「SSD830シリーズ」を展開しています。
 次にメーンDRAMを解説します。第1世代のプロセスは40ナノメートル台、第2世代が30ナノメートル台、第3世代が20ナノメートル台後半、第4世代が20ナノ台前半となっています。プロセスシュリンクの効果やロジックの改善によって、消費電力は第1世代から第2世代で21%、第2世代から第3世代で35%、第3世代から第4世代では、第4世代の1.35ボルト電圧の場合で7%、1.25ボルト電圧の場合で17%削減することができます。第1世代と第4世代の1.25ボルト電圧の製品比較した場合では、52%の低消費電力化を実現しています。

図5

 弊社ではこれまでサーバーとストレージサーバーという二つの分野に対して集中的にサポートしてきましたが、今後はサーバー、つまりホストからクライアント側のPCにも展開していきたいと考えています。
 サーバーの各アプリケーションの消費電力削減について解説します。例えばアプリケーションサーバーやデータベースサーバーの場合です。HDDとサムスングリーンDDR3第1世代の40ナノメートル台を組み合わせたものを、現在のグリーンSSDと20ナノメートル台前半のDDR3を組み合わせたものに切り替えることで、システム消費電力は2割程度削減できます。メーンメモリーの性能も向上するため、発熱も抑制することができます。クーリングシステムなどの負荷が変わらないため、データセンターのような大規模な設備になればなるほど有効です。消費電力を下げただけでなく、SSDを組み込むことによって、処理スピードも18倍増加します。
 次にストレージです。ストレージシステムでの比較対象はHDDかSSDかということです。HDDからSSDに置き換えることによって、消費電力は58%削減できます。読み込み・書き込み速度が速いので、システム処理能力は4倍以上向上します。
 次にPCです。今後、弊社ではPCのグリーン化も提唱していきたいと考えており、HDDからSSDへの置き換えを提案しています。メモリーについても20ナノメートル台前半のものとSSDの組み合わせで、消費電力は10%削減、性能も15%向上します。弊社ではグリーンDDR3を全方位展開していきたいと考えています。
 では、もう少し大きな視点で比較してみましょう。既存のデータセンターをITインフラAとします。HDDと40ナノメートル台グリーンDDR3第1世代を使ったサーバー、ストレージにもHDDを使っています。一方の第4世代グリーンデータセンターをインフラBとします。こちらは最新のグリーンSSDと20ナノメートル台前半の第4世代グリーンDDR3を使ったサーバー、そしてストレージはグリーンSSDとHDDで構成します。インフラA、Bともにサーバーの台数は1000台、ストレージの容量は1200テラバイトです。

図6

 同じデータ処理を、同じアプリケーションでこのインフラAとインフラBに流した場合、インフラAで6時間かかる処理をインフラBは1時間で終わらせることができます。また消費電力も26%削減できます。26%の消費電力削減は電気料金に換算すると4万ドルのコスト削減になります。また、設備の維持管理費などを12万ドル削減できることになります。つまり、グリーンデータセンターを構築することによって、年間16万ドル節減することができます。これは性能を向上させるために必要な追加のシステム購買費用の節減、それに付随する品質維持費用をまったく考慮してない純粋な費用の節減です。 実際にサーバーやデータセンターを管理運用していらっしゃるCIOの皆様が細部までご検討されれば、更に多額の経費節減が可能であると感じられると思います。従いまして、サムスンのグリーンメモリーソリューションを適用したグリーンデータセンターは地球環境にも優しく、コストに関しても優しいのです。
 グリーンメモリーソリューションの消費電力節減効果を見ましょう。現状、全世界のサーバーの中で弊社のSSDを10%くらい搭載したもの、またDDR3が20%くらい使用されることになれば、弊社では3.5テラワットは削減できることになると試算しています。金額にして2億6200万ドルに相当します。CO2排出量も2.4メガトン削減できます。もしメモリーで100%、弊社のグリーンDDR3を使った場合には、40テラワットアワーの節減ができるという試算もあります。

図7

 最後に、今後の弊社の計画を紹介します。グリーンDDR3は2009年の1世代から始まって、第4世代まできました。来年以降は、次世代工程の技術を確保していきたいと考えています。シュリンク化はかなり難しい段階まできていると言われていますが、その次世代のシュリンクする技術を確保していくということです。また、高速のメモリーインターフェース技術の開発、信頼性の高い回路デザイン、パッケージ技術の向上、さらにはファームウェアのアルゴリズム開発も行っていきます。
 弊社は次世代ICT世界の革新的な発展に継続的に寄与できるよう、次世代メモリーソリューションにはシステムとソリューション、ソフトウェアの革新を推進してまいります。それを3S革新と呼んでいます。3Sを念頭に置きながらグリーンメモリーソリューションの開発を続け、それを通じて社会発展に貢献してまいりたいと思います。

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犬飼英守氏

第二部 対談
「データセンターの運営を高い効率と性能面で支援する
 サムスン電子のソリューションについて」

日本サムスン 副社長
犬飼 英守

× 日刊工業新聞社 編集委員
明 豊

 きょうはビッグデータ、クラウド時代においてどのようなビジネスチャンスがあるのか、そこにサムスンのテクノロジーがどのように関与しているかを聞きたいと思います。そこで、まず、日本でもクラウド時代に対応したビジネスモデルがどんどん出てきました。最近のクラウドビジネスの潮流をどのようにご覧になっていますか。
犬飼 ハードウエアを含めた環境変化が非常に大きいと見ています。たとえばスマートフォン、タブレットPC、ウルトラブックなど新しいハードウエアはいずれもネットドリブン(ネット関連技術による牽引)型です。ネット上でリアルタイムにさまざまなデータが飛び回る中、それらをハード的にはどのような処理をして、アプリケーションではどのようにつかまえて、それらをビジネスにどう結びつけていくのかという時代になっています。ですから、ビッグデータが重要になってきていると思います。日本よりも欧米、特に米国でそういう感性が非常に強いと感じます。
 そうした中、今後、サムスンはメモリービジネスでSSDを核にしたサーバー向けビジネスに参入していこうとしています。
犬飼 私どもの将来戦略は、現在グリーンソリューションをベースにした20ナノ台のグリーンメモリー戦略に続き、次世代メモリー戦略を更に強化するためのシステム、ソリューション、ソフトウエアの3S革新を推進することです。これは、私どもはデバイスにだけ付加価値をつけるのではなくて、最終的に組み上がった装置あるいはその装置をユーザーさんが使った最終結果として、付加価値が生まれる製品をつくっていかなければならないと突き詰めていきました。その結果がグリーンメモリーです。グリーンメモリーはビジネスモデルを含め、総合的に見たグリーンソリューションのスタート地点になります。
 サーバーはCPUパワーの限界から、プロセッサーがマルチコア化していきました。それに伴いDRAMもデータ処理速度を向上させながらも同時に消費電力を抑えるパラドックス技術として進化してきました。しかし、ここでストレージの進化がネックになってきます。総合的に見た時、ここにも「グリーン」という付加価値をつけられるので、私どもはSSDというソリューションを打ち出しています。
犬飼英守氏と明豊
 デバイスメーカーも全体を認識していく必要があります。デバイステクノロジー、単体の半導体デバイスを売っているだけでは付加価値はつきません。既存のサーバー性能を最大化することで、新たな投資を大幅に積み上げなくても目標とする性能の確保を手助けします。それは結果的にIT投資費用を適切に運用可能にすることになり、お客様の継続的な成長に寄与するトータルソリューションとして、全体に付加価値をつけていきます。
 突き詰めていった結果、トータルソリューションに行き着いたということですね。
犬飼 私どもはNANDを売ってきました。しかし、NANDデバイスだけ売るというビジネスからトータルソリューションを売るビジネスに変化してきています。コントローラーを組み合わせ、SSDのようにセットとして、あるいは低電力の高性能システムを構築するソリューションとして売るということです。サムスンはメモリーデバイスをつくっている会社ですが、それをソリューションで売っていくという時代に変化してきています。
犬飼英守氏  サムスンはなぜサーバーメーカーやその先のユーザーへ、優れたデバイスやソリューショを提供できるのでしょうか。
犬飼 私どもはデバイスにおけるプロセステクノロジーで最先端の技術を持っています。それを自由に使いこなすだけでなく、そこにお客様がIT投資効率を高められるソリューションテクノロジーを加えています。NANDが一番よい例だと思います。私たちはNANDを使いこなすことができます。また、我々はもっと突っ込んで、NANDに何を載せればよいのか、システムLSIとコントローラーまで含めて、あるいはセット側から来る要求に対して、どこにどういうふうに内部の構成を調整すればよいのか、というところを突き詰めることができます。これまでにも、エラー訂正回路(ECC)だけをNANDに入れるというテクノロジーがあるのですが、「世代がかわるごとにECCを変えてもらっては困る」という声がありました。また、「ECCだけはデバイス側で作って欲しい」という話もありました。NANDを使いこなすためにはいろいろな技術が必要です。NANDというデバイスは信頼性を保つため、細工が必要なデバイスです。その性能を出すためにも、私どもはハードウエアのコンセプトからアプリケーションのコンセプトまでをつないでいくことができます。
 今後、サムスンはサーバーメーカーと一緒に、どんなビジネスを展開していかれるのでしょうか。
犬飼 私どもはあくまでもデバイスサプライヤーです。デバイスメーカーとして、サーバーメーカーが要求するデバイスをつくるという関係です。しかし、これからの半導体の世界はプロセス技術による牽引(プロセスドリブン)から、グリーンメモリーのようなソリューションをハードウェアとして具現化する回路技術による牽引(サーキットドリブン)になるといわれています。今後はサーバーメーカーともっと対話していかないと、本当にいいセット、内部構成をしっかりと整理(オプティマイズ)したセットができるチャンスを失っていくだろうと考えます。今後はサーバーメーカーとデバイスメーカーとの付き合い方が変わってくる、変わらなければいけないと思っています。
 大手メーカーのサーバーにはサムスンのテクノロジーがかなり入っていますね。
犬飼 私どもはサーバーそのものに対して非常に強いと思っています。リーディングデバイスメーカーとして、サーバーメーカーがどのようなデバイスを必要としているかという多くの情報を得られています。しかし、サーバーのデータ量が将来、エクサスケール(毎秒10の18乗回の演算)のレベルになったときに、例えばデバイスのアーキテクチャー(回路構成)をどう変えなければいけないか、セットのアーキテクチャーをどう変えていくかということまでは難しいでしょう。
 プロセスドリブンから、ソリューションを提供するサーキットドリブンへ変わってくるのは、どのタイミングだとお考えになりますか。
犬飼 回路線幅の微細化限界と、その微細化速度の限界がタイミングになるでしょう。NANDで言えば、回路線幅は1年で2倍の密度になるといわれてきました。実際、60ナノメートル台からあっと言う間に40ナノメートル、30ナノメートル、20ナノメートルと、2年で倍の密度を私どもはつくってきました。ところが、64ギガビットぐらいの世代から、2年で倍という速度での微細化は明らかに保てなくなりました。プロセス技術の問題があって、いわゆる回路線幅の微細化はNANDで1Xナノメートル台だといわれています。10ナノメートル台の中盤ぐらいが限界で、そこから先のモノリシックのテクノロジーは非常に壁が高いです。DRAMも2Xナノメートル台の前半から1Xナノメートル台の後半が限界だと言われています。この実現が2年くらい先ですから、2~3年後には、プロセス技術による牽引からソリューションを提供する回路技術による牽引、そういったところの最適化の話がだんだん強くなってくるでしょう。何か天と地のひっくり返るようなイノベーションがあれば変わるとは思いますが、従来言われているようなデバイスのテクノロジーの壁が来るとすれば、ソリューションを提供する回路技術による牽引に変わっていかざるを得ないと思います。
 サムスンのテクノロジーを使ってサーバーにメリットが出てきているというモデルケースをご紹介いただけないでしょうか。
犬飼 まだ国内のセットメーカーではそうしたモデルケースは出ていないと思います。しかしサーバーにSSDが使えるようになったということを認識していただいていると思います。サーバーの世界はNANDのストレージを使えるということがセットにとって非常に大きなターニングポイントになっています。リアルタイムにビッグデータを処理することに付加価値が生まれてきています。セット技術は切りかえの段階に入ってきており、2、3年でいろいろなことが起こってきます。そこに向けての変換点に立っているのではないでしょうか。こうした流れに対して、アメリカのセットメーカーは早くに動き出しました。しかし、実際のアプリケーション上、まだはっきりと目に見えた形にはなっていないと思います。 会場全体
 日本のマーケットでどのようにビジネスを進めていこうと考えておられますか。
犬飼 我々はできるだけいいものを供給して、日本のセットの競争力がつくようにしたいと考えています。セットメーカーも昔と違って、「国内のデバイスを使わなければいけない」というのではなく、「どこのデバイスを使おうと、日本のセットが勝てばいい」という考え方でなければ、世界で勝負はできないでしょう。我々のデバイスを国内のセットが強くなるために使っていただけるのであれば非常にうれしいと思います。
 SSDのこれからについてお話いただけますか。
犬飼 SSDで課題になっていたのは価格です。1ギガバイトあたり1ドルをいつ切るのか、と言われ続けてきました。SSDが1ギガバイトあたり1ドルを切ったら、ノートPC向けが普及します。タブレットに高い関心が寄せられていますが、タブレットにSSDはほとんど載っていません。SSDはPC向けです。サーバー系については従来のインターフェースを持ったものがどうしても必要であったことから、ストレージの一部のキャッシュのようなところにちょっと使われてくるという状態でした。しかし、NANDのコストが下がったため、SSD1ギガバイトのコストは1ドルをクリアする時期に来ています。今の256ギガバイトとか、128ギガバイトSSDの一般で売られている値段がどのくらいまで来ているかというのはご存じだと思います。SSDをハイエンドな分野に持っていくため、ある程度手をかけることにより、信頼性を高めたとしてもサーバー向けに使える値段になってきています。リアルタイムにビッグデータをストレージでハンドリングするためには、SSDが不可欠です。ストレージの高速化、パフォーマンス向上をSSSで解決することができます。コストが下がってきたのでSSDは今後急速に普及すると思います。これからはSSDをどこにどれだけ使うか。サーバーに載せるのと、ストレージシステムに載せるのとを、どのように切り分けて置くかなどの課題が出てくると思います。
 メモリーに関しては、サムスンはテクノロジーの最先端を行っていると思いますが、既にもうポストNANDとかポストDRAMという話が出てきていて、さらに次世代のメモリーになったときに、サーバーのテクノロジーにどういった影響が出てくるとお考えですか。
犬飼 今まで電荷のやりとりでない半導体デバイスで新しいメモリーだと言われていたものは、まだほとんど量産化されていません。先日、やっと64メガビットのMRAM(磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリー)が量産化されました。しかし、まだ64メガビットです。我々が目指しているのはギガビットクラスです。これまでのギガビットクラスのメモリーを次世代メモリーに置き換えていくことになります。たとえばMRAMのような製品が実用化されるとすると、やはり2015年以降になるでしょう。
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