ワロン地域は、国際市場に誇れる産業技術と技術革新の知的財産に恵まれています。

ヨーロッパ大陸での第一次産業革命の発祥地として、ワロン地域はすさまじい産業発展の歴史を体験しました。現在、革新能力と研究の質の高さで世界的な評価を得ております。ジュール・ボルデ(Jules Bordet)、アルベルト・クラウデ(Albert Claude)、クリステャン・ド・デューブ(Christian de Duve) 、イリヤ・プリゴジン(Ilya Prigogine)などの研究者がノーベル化学賞を受賞しています。

ワロン地域は、国際的視野を持った多種多様な分野の65,000の企業から成る豊かな多様産業組織であり、ヨーロッパの巨大マーケットにおいて重要な役割を担っています。なかでも、自動車・航空宇宙を含むメカニカルエンジニアリング分野は約250社もの企業網があります。56,000人がその分野に就労し、全就労人口の5%を占め、114億ユーロの売上高(GDPの6%)の活発な産業です。売上高の半分以上は輸出から生まれています。

ワロン地域のメカニカルエンジニアリング網の魅力は、生産サイクルの上流から下流に至るまでをカバーしていることです。基礎研究開発から、応用研究開発、デザイン、構造設計、構造最適化、モデリング、CAE, 材料、propulsionシステム、生産技術、精密生産、組み立てなどお互いに情報を交換し、イノベーションに富んでいるネットワークが成長しています。ガラス、鉄、精密機器をはじめとする、伝統的な技術ももちろん発達を続けています。(Arcelor Mittal, Umicore, AGC, Precimetal, Britte, JTEKT・・・。)

現在、資源の管理と環境保護を考慮した技術が目立っています。その中に、二酸化酸素を削減する新しい推進システムの開発もあります。水素、または他のガス内燃エンジンに加え、電気自動車の場合では、電気モーターと新しい電池、ハイブリッドシステムに関する課題には電気ハイブリッドと燃料電池などがあげられます。構造の開発は材料の軽量化と強化、そして最適化、空気抵抗の少ない流線型なデザインに取り組んでいます。以下のような専門の企業も多くあります。ULg, Samtech, Pepite, Breuer, Green Propulsion, Nanocyl, Certech, FFT, Athol, UCL ・・・。
自動車の構造が複雑になればなるほど、メカニックが複雑になりますが、エレクトロニックと製造システムの開発が同じスピードで進んでいます。
ワロン地域の企業網は付加価値の高いビジネスを生み技術の成長を促進します。その上、ロケーションも理想的です。 例えば、スーパF1サーキットがあり、最先端技術とプロトタイプをテストできるインフラが整っています。人材育成では大学と専門学校がバックアップ、このため生産性が高く、精度の高い仕事を行う優れた技術者がいます。 なお、欧州の自動車組み立て工場分布図をみるとわかりますが、飛行機、鉄道、船舶など、各物流基地までの距離が一日以内の工場が90%です。市場の刺激を受けながら、物流にも効率がいい地域です。

>>ワロン地域とは?

AWEXとは?・・・
ベルギー南部のワロン地域にある企業の輸出促進を目的として設立。
活動内容は、ワロン地域経済のプロモーション活動、セミナー及び市場調査(代理店、輸入業者の調査)、日本への経済ミッション派遣、日本での見本市への参加、ワロン地域への視察支援など。
>>連絡先
東京事務所
:AWEX Tokyo
〒105-0011
東京都港区芝公園1-7-13
ベルギー王国大使館
Tel:(03)3556-1061
Fax:(03)3262-0398
awex-tk@ab.inbox.ne.jp
www.investinwallonia.jp

大阪事務所:AWEX Osaka
〒530-0001
大阪市北区梅田2-4-13
阪神産経桜橋ビル10F
Tel:(06)6345-2231
Fax:(06)6345-2232
osaka@awex-wallonia.com

>>リンク集
◆ナノテクノロジー(2008)
◆ワロンの自動車産業(2008)
◆ナノテクノロジー(2009)
◆第6回産業技術セミナー(2009)
【豆知識その1】
一人あたりの自動車生産:ベルギーは世界一。その次は日本!ベルギーは国産自動車は生産していないにもかかわらず、多くの自動車メーカがベルギーを生産拠点として選んでいます。
ベルギー 0.19%
日本 0.17%
ドイツ 0.15%
フランス 0.10%
米国 0.06%

【豆知識その2】
世界の大学ランキングを見ますと日本の大学、ベルギーの大学とも高い競争力を誇ります。
University Overall THES Country
東京大学 19位 Japan
京都大学 29位 Japan
大阪大学 70位 Japan
Universite Catholique de Louvain 76位 Wallonia
東京工業大学 118位 Japan
慶応大学 120位 Japan
名古屋大学 128位 Japan
北海道大学 133位 Japan
早稲田大学 158位 Japan
Universite Libre de Bruxelles 165位 Brussels
東北大学 168位 Japan
神戸大学 181位 Japan
(注) The Times Higher Education Supplement (THES) は英国のThe Times紙系列の専門紙(週刊)
で、高等教育分野では世界的に権威のある新聞です。データは2006年度のものです。

【Business Environment: Productivity】    

音響振動のコンピューター支援エンジニアリング(CAE)を専門とするベルギー系企業フリー・フィールド・テクノロジー社が日本に進出しました。
会社概要
フリー・フィールド・テクノロジー社(FFT社)は1998年、ブリュッセルから南へ車で20分ほどにある大学の町ルーバン・ラ・ヌーヴで、コイェット(Coyette)教授とミジョ(Migeot)教授によって設立されました。35名のうち30名がエンジニアというFFT社は音響解析用のCAEツールを開発・販売を手がける会社です。振動と音響のモデリングは比較的新しい分野ですが、製品の品質向上につながるため、企業は高い関心を寄せています。そうしたなか、FFT社の製品はとても重要な役割を果たしています。
会社設立の由来
振動と音響解析ツールは30年前に開発された製品がありましたが、新しいニーズに対応できなくなっていました。エアバス社をはじめとするユーザーの声を受け、新しい技術を開発し、その技術を商品化するために生まれたのがFFT社なのです。今や、同社の主な顧客にはエアバス社、ルノー社、プジョー社、GM社、ロールスロイス社など著名な企業が名を連ねます。
FFT社と日本の関係
2003年、FFT社はMSCソフトウェア社と提携し、アクトラン(Actran:Acoustic Transmission)という製品のOEMを開始しました。それから5年、日本の大手自動車メーカー、建設機械メーカーや、東京大学をはじめとする多くの大学でFFT社製品が使われています。そうした日本のユーザー向けに、FFT社独自の製品を紹介し、よりよいサービスを提供するため、今年5月20日、同社は日本支店(FFTジャパン)を設立しました。事務所は東京・新宿のパークタワー30階にあります。
FFTジャパンは、エアバス社の拠点、トゥールーズ市にあるフランス支店に次いで、FFT社の2番目の支店です。2008年度、FFT社は500万ドルの売り上げ目標を立てており、そのうち日本で20%としています。現在は斎藤氏が一人で切り盛りしていますが、ビジネスの成長に合わせて、拡大することを目指しています。
FFT社製品の特長
FFT製品の特長は、第一に、音響解析の速さと正確性です。解析速度は他社製品と比較して10-100倍という、圧倒的な速さを誇ります。解析精度は、たとえば自動車の場合、カーペットやルーフライナーなどのトリムの効果を含めた解析を可能にします。
第二に、他社製品では境界要素法が用いられていますが、FFT社は有限要素法を利用しているため、モデリングの詳細化が可能になります。さらに、分析対象だけでなく、隣接する周囲の状態も無限要素を使ってメッシュ化しモデル化し、正確な解析を可能とします。
FFT製品の役割
音は製品品質に大きく影響します。自動車を例にとると、多くの対策部品を使えば音を防ぐことができますが、それでは自動車が重くなり、燃費目標が達成できなくなります。そこで、FFT社の製品が、設計時に、軽くすると音が出る、重くすると燃費が悪くなるというトレードオフ解決の役割を果たすのです。
今後の展望
現在、FFT社の新製品「アクトラン/LA」という、流体音源をモデリングするツールが注目されています。固定構造の振動解析は進んできましたが、内部に流れる流体の解析はまた未開拓の分野です。流体も音の大きな原因の一つですので、今後、重要性を増してくるに違いありません。

〔期間〕:2008年5月21日~23日 〔会場〕:パシフィコ横浜展示ホール
「資源のことを話しませんか?」というテーマでブース展開を行いました。ベルギーでは日本と同じく、限られた資源活用は重要な課題です。ワロン地域よりCAE開発のSamtech社、ハイブリッドパワーが専門のGreen Propultion社がベルギーの最新トレンドを紹介しました。
「環境性能と高出力。相反する二つが両立したハイブリッド車(HV)をつくる」。
来日したグリーン・プロパルション(ベルギー)社長のイーブ・トゥーサンさんは、独自開発のハイブリッドシステムに意欲をみせる。同システムを載せたスポーツ車を欧州で売り出す。その試作車は「時速100キロメートルへの到達時間が4.8秒だが、燃費も1リットル当たり20キロメートルに抑えた」という。日本ではシステムを自動車メーカーに売り込んでいるところだ。

日刊工業新聞(6月10日付け、5面記事より抜粋)
5月22日に開催された「新製品・新技術紹介のプレゼンテーション」ではバーナード・ボスさんが、“Interest of flexibility for vehicles dynamics” と題し、サムテック社の技術紹介を行いました。
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