つくば市は科学技術が集積した土地柄です。とはいえ従来は、なかなか実用化、産業化に結びつかないと評価されることもありました。しかしロボット特区をはじめ、つくば国際戦略総合特区や環境モデル都市といった取り組みを通じて、ロボット技術やつくばのイノベーションが新産業を創出し、ひいては成長戦略、私たちつくば市の地域の発展にもつながると期待しています。
 ロボットが公道や街の中を走れるのは、つくば市だけです。社会に実装するには、実際に街や人間が暮らす生活の中で使ってみることに非常に意味があります。パーソナルモビリティーは世界中で実用化されていますが、問題点や可能性をきちんと検証しデータを取ろうとしているのは、世界でもつくば市だけだと自負しています。
 また、つくばには「ロボット安全検証センター」という経済産業省の施設があります。生活支援型のロボットを人間の生活の場で活用するには、人間に危害を加えたり害を及ぼさない安全性の確立が重要です。
 この2月にサービスロボットの国際安全規格「ISO13482」が正式発行されました。今後、安全性の確立された生活支援ロボットを世界に先駆けてどんどん輩出し、日本が主導的にグローバルスタンダードをとることが、次世代ロボットが大きな産業として成り立つために必須です。つくば市はパーソナルモビリティーを中心に、提案や活動をしています。
 皆さまのご支援があれば、日本の生活支援型ロボット技術は世界に大きく羽ばたけると期待しています。これからもよろしくお願いいたします。

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『規制改革に向けた取組』

1月20日に施行された産業競争力強化法は、我が国の産業競争力を強化するべく、新事業、つまり何か新しいことをしたい、新分野に乗り出したいという企業のアイデアに応えるためにできた法律です。そこで「規制改革」を柱の一つに打ち出し、「企業実証特例制度」と「グレーゾーン解消制度」という二つのツールを設けました。
 「グレーゾーン解消制度」は曖昧だった規制の線引きをクリアにして、新しい事業を始めやすくするものです。例えば健康維持の観点から、中高年齢層を中心にニーズが非常に高まっているフィットネスクラブ。インストラクターが「このくらいの運動をしないと糖尿病が再発しますよ」などと言えば付加価値は高まり、客も増えそうです。しかしこれは違法です。診察や診断は医者しかできないからです。
 仮にフィットネスクラブを経営しようとする際、困るのは違法と適法の中間ラインがどこなのか、という点です。そこで今回、医師からの指導・助言に従っていて、療法士がやるようなことをしなければ、医業には該当しませんという回答を得ました。
 また意識を失ったりトラブルを起こした時にボタンを押すと止まる、デッドマン装置というものがあります。今は自動走行機能と組み合わせて、装置を起動したら自動で車線を変えて高速道路の路肩に止めるということも可能になってきました。これも保安基準に適合するかどうか分かりませんでしたが、問題ないことを確認しました。グレーゾーンの解消で、今後どんどん新しい付加価値を持つ事業が加速化するのではと思います。
 もう一つの「企業実証特例制度」は、企業単位、つまりその企業の事業計画に対して適用される、いわばカスタマイズされた規制改革ツールです。申請があった事例では、高圧ガス容器の検査における新しい手法の導入があります。法令では目視検査や水を張った耐圧検査など、いろいろな検査項目が決まっています。ただ最近は超音波検査や音響検査などの技術が発達し、中を開けたり水を張ったりせずに検査を行うことが技術的に可能になっており、実現すれば相当なコストダウンにつながります。そこで新事業活動計画の認定を受けた事業者であれば、これらの検査法を使える特例措置が利用できるよう、現在取り組んでいます。
 次に最近の宅配事業者さんが使っているリヤカー付きの電動アシスト自転車。これは基本的に一般家庭で使われている電動アシスト自転車と変わりません。そのため過度にスピードが出ないように、アシスト力は踏み込んだ力の2倍と上限が決まっています。ただリヤカーに荷物を載せると、100キログラム以上にもなり、女性や高齢者を活用したい事業者にしてみたら、そのアシスト力では無理だという話になってきます。
 そこでスピードが上がってきたら段階的にアシスト力を落とす、十分なブレーキ力を備えているなど、安全性に関する代替策を講じている車体であれば、踏む力の3倍までアシストできるような特例措置ができませんか、という提案がされました。こちらも警察庁と議論したところ認められたので、特例措置の整備に取り組んでいるところです。
 企業実証特例制度で規制の特例措置を作り、認められた事業を1年、2年と続けて、この間に問題がなければ、全国に展開できるはずです。
 新しいものであるほど未来を見据えて安全・安心に使ってほしいし、それが産業発展のベースにもなります。ただその安全や発展を過去のものさし、切り口のみで測っていては当然、新たな取り組みは始まりません。新しい事業を始める際に、もし規制が障害になっているのなら、ぜひ我々にご相談ください。

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『つくばロボット特区の活動報告』

自治体の取り組みを報告します。我々の基本的なコンセプトは、研究開発から社会実装まで1本の流れの下でやっていきたいということ。そして市民が居る空間と分けないということが重要だと考えています。
 現在パーソナルモビリティーの実証試験を進めているのは、セグウェイジャパン、トヨタ自動車、日立製作所、産総研、アイシン精機、宇都宮大学の6社・機関・大学です。第1フェーズで分かってきたことは、防犯パトロール、観光ツアー、通勤といった多様な用途で有効であるということ、また歩行者との親和性が非常に高いということです。安全性ですが、この2年半で事故や特段のヒヤリハットは起こっていません。
 規制面では2点の成果がありました。一つ目はカラーコーンの問題。これまでは歩道の中央にカラーコーンを置いて、歩行者とロボットが通る所を分けていました。二つ目は、横断歩道を渡るたびに降りなければいけなかった問題。どちらも現実的ではありません。そこで追加で規制緩和していただき、今では人とロボットが混ざった状態で実験し、横断歩道も降りずに渡っています。
 今後、早急に実現が望まれる規制緩和はたくさんありますが、特に1点挙げるのならば、保安要員の配置要件の廃止です。実験時はロボットの近傍に、いわゆる見張り役を付けなければなりません。それによって不特定多数の方が、さまざまな時間に行うような行動、例えば通勤やシェアリングの実証が非常に困難になっています。
 ロボットの実用化と言いますが、機械単体で実用化されるとは思っていません。公共交通との組み合わせやシェアリングといった、いろいろなITやサービスとのパッケージ、または制度とのパッケージで実用化が進むのだと認識しています。保安要員の課題を解決して実利用環境に近い形で実証できるようにし、日本初の製品システムをつくばから発信することを目指しています。
 我々がロボット特区をやっていると「つくばだからできるんでしょう」とか「道も広いからできるのだろう」と言われることもありますが、東京のベイゾーンを見ると、つくばよりよっぽど広い歩道があり、立派なインフラが整っています。他地域でも使っていただけるようなモデルも、我々は追求していきたいと考えています。
 中期的にこういったものを産業として位置づけていくには、特区で処理するのではなく、やはり新しい制度設計が望まれます。車両ではなくて歩道を走行できる、新しい移動機器としてのカテゴリーの設置が、我々の望むところです。


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『パーソナルモビリティーを活用したクリエイティブな都市づくり』

都市というのは居住、労働、憩い、移動という四つの機能で成り立っています。この20世紀から現在にかけて、そしてこれからの未来に向け、都市のあり方は大きく変わってきました。
 移動に関して言えば、高度経済成長以降は、より速く快適に、遠くまで確実に移動するということが非常に重要なキーワードでした。ところが人口減少や高齢化が進む中で、もう少し人に近い所で移動するという機能を考えていこうじゃないか、という機運が高まっているように感じます。
 東急電鉄は主たる事業の鉄道とバスで、20世紀型の移動である確実に速く遠くに大量の輸送をすることに貢献してきました。しかしこれからの時代は子育て層の利便性、高齢者が安心できる移動性の確保なども必要になります。また高齢者がバス停まで歩けなくなったり、免許を返納して運転しなくなったりすると、歩いては行けない駅から少し離れた生活圏とのアクセスをどう確保していくかも重要です。そこで我々は次世代の街における交通のあるべき姿を見据え、パーソナルモビリティーを地域の交通として活用できないかということを、いろいろな形で実験しています。
 例えば横浜市とは、日産自動車の超小型モビリティーを7世帯の子育て世帯に2週間貸し出す取り組みを進め様々な知見を得ています。また世田谷区の二子玉川を中心に実験している「QUOMO」という取り組みでは、地域の方にパーソナルモビリティーの体験乗車やイベント等での実験活用をいただく取り組みを進めています。体験した人の感想は、楽しい、おもしろい、近未来的、乗るとつい手を振りたくなる、歩行者から声をかけられるなど、おおむね良好です。
 一方で我々も、導入課題をいくつか感じています。まず何か特別なものという一般市民の中にある既成概念も打破していかなければいけませんし、そして何よりも、常に保安要員がつかなければいけないとか、横断歩道は引っ張っていかなければいけないというのでは、なかなか社会に実装できませんので規制緩和が必要になるでしょう。
 パーソナルモビリティーは若干コミュニティー意識が希薄な都市部において、「ハイ」というあいさつができるようなコミュニケーションのきっかけづくりに資すると思っていますし、こちらの路線とあちらの路線の間をつなぐような、近距離移動に果たす役割は大きいと期待しています。つくば市の経験をうまく生かしながら、こういったものが実装されるような社会を作れるよう、頑張っていきます。


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『新しい旅の創り方』

今JTBがやっている取り組みと、モビリティビジネスの取り組みに至った経緯をお話ししようと思います。JTBはここ数年、交流人口創出コンサルティング事業、地域交流事業をしています。例えば山梨県の北杜市で行った「日本一の朝プロジェクト」や、埼玉県の秩父市で昔の農作業の間のおやつを観光素材として復活させた「小昼飯復活プロジェクト」、山梨県のワイナリーをタクシーで回る「ワインタクシー」、新潟県では夏でも溶けない「雪室」を利用した「夏の雪旅プロジェクト」などを手がけています。
 1年前の今ごろ、官と民が一緒になって観光事業を作り上げる「官民協業事業」の公募が始まりました。そこで各支店にアイデアを求めた所、つくば支店にいた入社7年目、群馬県出身の社員が「セグウェイが公道を走るんです」とすごい勢いで私に話をしてきました。

彼女の「とてもいい取り組みなのですが、今は無料です。無料のままだと、補助金がなくなったら終わってしまいます。これを何とか有料化して事業化するということを、観光庁の事業を使ってお手伝いしたい」という提案があり、つくば市の取り組みを知りました。
 そこで今まで無料だった観光ツアーを有料にしました。これは非常に勇気が必要なことでしたが、5000円という価格で発売をしたところ、申込倍率が10倍。やっぱりすごいんだな、ということを実感しました。
 次年度も継続しようということでまた発売しましたが、今はもう3カ月先まで、平日の一部を除いては満員です。当然つくばの町を知ってもらいたいのですが、規制緩和も感じてもらいたいという非常に強い思いもあります。安全面、規制面、ハードルは多々ありますが、未来の姿を想像してみます。東京の代々木公園や広島の平和記念公園といった都市型の公園、京都や金沢といった古都、お城、伊勢神宮などのお寺や神社、庭園や別荘地などの自然散策、そして私が一番憧れる東京の皇居前広場、他にもオリンピックの選手村や国体の入場行進に使われたらおもしろいんじゃないかなとか、あとは夜景観賞、いろいろなところで応用できるかもしれません。
 いろいろな規制はありますが、街中を走る自転車よりも、セグウェイのほうが正直安全だと感じます。規制が少しずつ緩和され、つくばの前例を無駄にすることなく、セグウェイやロボットが歩行者や自転車と共存できる世の中になることを、JTBとしてお手伝いしたいと思っています。

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『コミュニケーションツールとしてのセグウェイ』

「なぜ新しい乗り物を、わざわざそんなリスクを冒してまで使わなくてはいけないのですか」と聞かれることがあります。「自分が好きだから進めたいのだろう」と言われることもあります。実は違うんです。コミュニケーションツールとしてのセグウェイの話をします。
  米国のディズニーワールドが400台のセグウェイを保有しています。その中の100台ほどはツアーに使うのですが、もう300台はスタッフの人たちが園内を移動するのに利用しています。なぜかというとセグウェイに乗って移動するキャストのコミュニケーション能力が非常に上がって、やたらとあいさつしたり、ちょっとしたことですぐ止まってくれたりするんです。
 彼らは「セグウェイスマイルというのがあるんだよ」と教えてくれました。セグウェイに乗れるようになって一体感を感じた時に出る笑顔。つくばの実験でも見られますが、それだけではありません。にこにこしながら、周囲の人とコミュニケーションを取ろうとする人がとても増える。これがディズニーから学んだことで、我々がこの事業に進出しようと思った1番のきっかけです。
 つくばでパトロールされている方たちも、周りの人にコミュニケーションをとったりあいさつしたりすると、ほぼ確実に反応が返ってきます。最近は、こちらがこんにちはと言わなくても、子供たちが走ってきて「ロボットのおじさん」と向こうからコンタクトしてくれるという状況が起き始めました。まさに、僕が数年前に米国のディズニーで言われたことと同じことが、つくばで生まれつつあります。このノウハウを横展開していきたい。そう思います。
 セグウェイジャパンを設立してから30-50ぐらいの自治体の人たちに「一緒に特区をやろう」と言われていますが、つくば市以外まだ実現していません。いくつかの厚くて高いハードルがあったんだと思います。ですが、つくば市が空けた大きい穴、一歩が今、大変なことを生んでいます。そんな乗り物でコミュニケーションなんかあるわけないだろうと思われた皆さん、一度来てみてください。
 アクティビティーに参加するだけで、笑顔になってしゃべるという行為をするテクノロジー。皆さんにぜひ紹介をしたくて、規制緩和も含めて頑張ってきました。私は日本がこういうことを利用したら一番スマートで、人生に対するプロダクティビティーが高そうなものができると信じてこの事業をやっています。規制緩和があと一歩も二歩も、百歩も進むようにこれからも頑張っていきたいと思います。

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『グリーンイノベーションを目指すモビリティロボットシェアリングの取組』

産総研はこの特区が始まった当初から参画しています。モビリティ単体というよりモビリティとIT、またクラウドのようなものの支援を受けながら、システムとして作り上げることを目指しており、電気を中心とした大規模な交通システムが実現できるのではないかと考えています。ぜひ技術で作っていきたいと思っています。
 まず産総研で研究開発している自律走行車いすや自律走行ロボットによる公道での実証試験についてです。現在は大規模な三次元情報を、クラウド上にどんどんため込む取り組みをしています。これを活用すれば移動支援サービスとして、ロボットの自律走行やナビゲーションサービスなどに使えると考えています。ロボットのセンサーの情報をうまく照合すれば、20センチメートル以内くらいの精度で位置推定が可能です。

次に2013年9月から産総研とつくばエクスプレス線(TX)つくば駅間で行っているシェアリング事業についてです。全地球測位システム(GPS)や加速度計などを搭載したセグウェイと各地点に2台ずつ、計4台設置した充電ステーションを利用します。予約管理画面で予約してQRコード認証で充電ステーションから取り出し、約3・8キロメートル、セグウェイで20-25分かかる2地点間のコースを走行するというのが一連の流れです。
  我々が東京に出張するときに駅まで利用するといったビジネス用途を想定し、運用システム上の課題をどうしたら解決できるのかを検討しています。4月からは、これまでは関係者のみだった対象を部門内の約40人に広げ、また7月以降に研究学園エリアにも充電ボックスを二つずつ設置する計画です。
 最後に2月に正式発行された生活支援ロボットの国際安全規格「ISO13482」を紹介します。対象は三つあり、移動マニピュレーターと装着型ロボット、そしてモビリティロボットです。つくば市が誘致した「生活支援ロボット安全検証センター」には、さまざまな試験設備が整っています。将来的には日本自動車研究所が運用する計画です。
 どんな試験ができるかというと、例えば大型傾斜路や、走行耐久性を検証できるような試験装置、衝突用のダミーなど、いろいろな装置があります。夏頃からプレ事業として、試験したいという企業がいれば、格安で実際に運用できる体制が整う予定です。 これらの取り組みを広げて、どんどん大規模な社会実験につなげたいと思っています。


充電ステーション
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『少子高齢化時代を支える次世代テクノロジーの紹介』

我々が開発している移動支援ロボット「ロピッツ」はコンパクトシティーでの利用と、交通弱者や一般市民などを対象に想定しています。端末で呼び出して自律走行で必要な時に必要な所に配車するようなシェアリングを検討中です。そのための自律移動技術を検証すべく、つくば市で実証試験を進めています。日立製作所としては、ロボット同士を双方向でつなぐ次世代社会基盤やその開発に興味を持っています。
 ロボットは室内や木陰を走るため、GPSがほとんど入りません。そこで木や建物の形状、あるいは画像などを目印にして走行します。我々の場合はもともと持っている三次元形状を地図として、走りながら取得している三次元形状データと照らし合わせることで、自分の位置を推定しています。また効率良く障害物を回避するために、道幅が広い所ではスピードを落とさずに避けて、道幅の狭い場合だけ障害物に近づくとスピードを落とすという手法を取り入れました。
 歩道にはデコボコが多いのですが、乗り物の幅は70センチ以内という規制があり、安定性が取りにくいのが課題です。そこでアクティブサスペンションを搭載し、どんな路面状態でも車体水平に保つ技術を開発しました。
 昨年、携帯端末からロピッツを呼び出す機能を作りました。タッチパネルに表示される地図に触れて場所を指定するだけで、そこに来る仕組みです。つくばで実験を進めており、現在は自律機能や搭乗者と歩行者の親和性を検証しています。1台のロボットで400キロメートル以上を走行しました。今、自律走行できる領域は18キロメートルです。今後これを拡大し評価を進められればと思います。
 つくばロボット特区に参加する目的としては、親和性評価、安全・安定性評価、有効性評価、社会システムの評価というものがあります。現在は親和性と安全・安定性を評価していますが、将来的には高齢者の行動活性化につながるかといった有効性や、ビジネスとして成り立つかといったことを評価する必要性があります。ただロピッツは原動機付き自転車の扱いのため、今は免許がないと乗れません。高齢者や子どもは乗れないということです。将来的に評価・実証試験をする時期には、免許が無くても乗れるような規制緩和が必要になると思います。
 シェアリングするには人が乗ってない状態で配車しなくてはいけないので、無人走行の規制緩和も必要でしょう。今後、皆さまの支援のもとに、これらの緩和を進めていきたいと思います。


移動支援ロボット「ロビッツ」
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『人と街をつなげるパーソナル移動支援ロボットWingletの可能性』

我々はパーソナル移動支援ロボットを提供することで、人と社会に優しい方法で、誰でも安心して自由に移動を楽しめるようにしたいと考えています。それによって人々の気持ちがよりアクティブになり、移動することが人との出会いを育み、心を豊かにし、地域社会のコミュニティーの活性化にもつながると考えています。
 ウィングレットの幅は人の肩幅と同じくらいで、最高時速は6キロメートル。大きさの面でも速度の面からも歩行者との親和性を図っています。また小型でもバリアフリー相当の環境における走破性は確保しています。
 つくば市での試験について、2013年度は特に安全性の実証に重点を置くことにしました。弊社の担当者からつくば市役所の方、産業技術総合研究所の方々に日常業務の中で使用してもらい、これまでに約700キロメートルを走行。200名の方が乗車し実証を積み上げてきました。
 結果として事故や「重大ヒヤリ」の発生はなく、故障や重大不具合という品質面での問題もありませんでした。一定の環境や使い方の下では、安全に使えると判断しています。
 実証を通じて、歩行者との親和性の高さは実感することができました。しかし一方で、自転車などの車両との共存については、すぐ横を自転車に速いスピードで通り過ぎられると、怖く感じるなど、車両との通行速度の差に起因する不安の意見が多く寄せられました。ウィングレットにふさわしい通行エリアの検証も含めて、周辺交通との関わり方と、その中での安全の確保について今後も検証していきます。
 実用性に関しても検証を進めている所です。利用機会の拡大や、乗車スキルを認定するためのライセンス制度、乗車に適したエリアを見いだすことなどが主な課題です。乗車エリアに関しては、2キロメートル圏内がウィングレットの実用性を大いに発揮できるエリアだと考えています。具体的にはショッピングモールやつくば特区のような街乗り、あるいは空港での利用などが想定できます。
 これまでこの圏内での移動はただの行為に過ぎませんでしたが、ウィングレットのようなモビリティを導入することで、移動そのものが楽しみに変わる。そしてそのことが我々の目指す、人と街がつながる社会の実現につながっていくのではないかと考えています。
 今後も検証を通じて、安心して自由に移動を楽しめる社会の実現に向けて取り組みを続けて行きたいと思います。

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