年賀状の有効なビジネス活用法 DM営業コンサルタント 株式会社ミラクルレターマーケティング 黒田浩司氏

年賀状でPR 年に一度の絶好の機会到来 カレンダーの残り枚数も少なくなり、年賀状の準備を始める時期が近づいてきた。企業やビジネスパーソンにとって、顧客や取引先に送る年賀状をただの社交辞令にしてしまうのはもったいない。年賀状は突然送られてきても、自然に受け止めてもらえる特性を持つコミュニケーションツールであり、ほんのわずかな工夫を加えることで、ビジネスの格好の切り札となりえるからだ。そのノウハウを、DM営業コンサルタントの黒田浩司氏に聞いた。

年賀状は絶好のビジネスチャンス

年賀状は、親戚や友人に送るだけで手一杯。ビジネスの相手には送らない――。という認識は、改めた方が良さそうだ。実は年賀状は、ビジネスに有効活用できるからだ。ダイレクトメール(DM)によるマーケティングに詳しい黒田浩司氏は「年始こそ、年に一度の絶好のDM送付のチャンス」と断言する。

DMへの反応(レスポンス率)は、通常、0.1%程度とされている。ところが、年賀状としてのダイレクトメール(年賀DM)なら、15%以上の反応を得た例もある。
「でも、特に大がかりな仕掛けをしたわけではありません。少しの工夫で、年賀状の特性を活かしただけです」

年賀状には、長年の習慣や仕組みによって、ほかのチラシやDMにはない、人を惹きつける力があるのだ。

まず、時期がいい。「年始の挨拶に不審を抱く人はいません」と黒田氏が言うように、普段の時期であれば「しつこい」「なぜ今」と言われてしまいそうなアプローチも、年始の挨拶という形を守れば、自然に受け止めてもらえる。

また、くじが付いているのも大きな利点だ。
「チラシのように、目を通されずに捨てられることがありません。お年玉くじの当せん番号発表時まで保管してもらえ、そのときに改めて目に触れるというメリットがあります」

年賀DMとは【2】年賀状あらではのアプローチ

黒田氏「オススメ!」

顧客向けアプローチ(B to B)

  • 1)既存顧客
    良好な関係の維持のために、旧年中の感謝とともに、新年を共に祝う気持ちを素直に綴ろう。手書きで一言添えることで、存在をしっかりと印象付けられる。この年賀状一通があるかないかで、新年の挨拶回り時の反応は異なる。
  • 2)休眠顧客
    以前は付き合いがあったが、いつのまにか疎遠になった。こうした顧客との復縁の足がかりはやはり年賀状。新規顧客の開拓よりも、休眠顧客の掘り起こしの方が効率が良い。年賀状で「無関心ではありません」とメッセージを伝えよう。
  • 3)新規顧客
    これまで接点のなかった顧客に対して、自社の存在を知らせる絶好のチャンス。この時期に心機一転、新しいパートナーを求める企業は多い。年賀状でまずは関心を引き、あとで電話を入れるなどしてフォローをする。

消費者向けアプローチ(B to C)

1)当せん発表日まで保管してもらえる
くじが付いていることの最大のメリットは、保管してもらえること。着いた日と、当せん番号発表日の2回、見てもらえるチャンスがある。
2)独自の特典も簡単に提供できる
年賀はがきのくじ番号で自社オリジナルの抽せんも。「結果発表は店頭で行うことで、集客が期待できます」(黒田氏)
3)チラシと違い確実に家の中まで届く
ほかの年賀状と一緒に届くため、その場で捨てられる可能性の高いチラシとは違い、家の中まで届いて、目を通してもらいやすい。
4)「おめでたい」から受け入れられる
普段なら警戒されがちな「無料でのプレゼント」も、お正月なら自然に受け入れてもらえる。イベントと組み合わせるとなお良い。
5)あなたは大切な人と伝えられる
年賀状を受け取った側は、自分が大切されていると感じる。すると、他店への浮気をしにくくなるという。親近感の演出に最適だ。
6)親しみやすい存在と思ってもらえる
手書きのメッセージを添えると、さらに親しみを持ってもらえる。「手書き風フォントを使うだけでも有効です」(黒田氏)
7)同業他社との違いが際立つ
年賀状を出さないライバルとの差をつけられる。「デジタル時代だからこそ、アナログの良さを活かしましょう」(黒田氏)
DM営業コンサルタント 株式会社ミラクルレターマーケティング 黒田浩司氏 岐阜県出身。慶應義塾大学商学部卒業。手紙のようなDMを活用した営業方法を、企業経営者や個人事業主に推奨している。著書に『バカ売れ 魔法の手紙DMが面白いほど書ける本』など。

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