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Vol.6

岩手・宮城・福島の地銀8行、預金・貸し出し伸び続く― 設備関連需要に動き

 岩手、宮城、福島3県の地銀8行の貸し出しが引き続き伸びている。8行の2012年9月末の貸出金残高合計は10兆4000億円と前年同期比4.5%増、12年3月期末比では0.4%増だった。なかでも福島県の東邦銀行は11年9月末比で8・1%と高い伸びを示した。東日本大震災で被災した企業の復旧を支援する「グループ補助金制度」などの政策効果もあり、資金需要の中身も運転資金から設備関連の需要も出始めてきた。
 12年9月末の8行の貸出残高は前年同期比1.3―8.1%増となり、旺盛な資金需要に対する積極的な融資姿勢が明確になった。震災からの復旧・復興関連の資金需要が具体化したことで、地方公共団体、建設、住宅ローンなどへの融資が増加した。
 貸出金が大きく伸びた東邦銀行は、震災と東京電力第一原子力発電所事故からの復旧・復興に向けた資金需要が増えた。業種別ではインフラ関連が同55・2%増の476億円、製造業が同0.9%増の3066億円、個人が同5.6%増の5518億円、地方公共団体は同14.9%増の3971億円となった。
 東北最大の地銀である七十七銀行の氏家照彦頭取は「資金は全体的に出ているが、中身は運転資金が中心だ。ただ、明るい兆しもあり、設備関連の需要も出始めている」と話す。一方で「まだまだ復興は道半ばで、乗り越えるべき多くの課題がある。被災企業の資金需要は旺盛で、政府は復興予算を本当に支援が必要なところに向けてほしい」と注文をつけた。
 預金量は仙台銀行が同0・8%減となったほか、7行の伸び率は同3.3―11.9%。震災関連の公金預金、保険金などで預金流入が主因だ。仙台銀の三井精一頭取は預金減について「被災者の生活再建が進む中で、資金の払い出しが着実に進んでいる証。また預金を保険や投資信託など運用に回すケースもある」と説明した。
 各行とも預金残高に比べて貸出残高の伸び率が低いが、日銀仙台支店の後昌司支店長は「全国的に見ても東北の貸し出しの増加率は高い。復興の本格化で今後ともこの傾向は続くだろう」との見方を示している。
【2012年11月16日(金)付 日刊工業新聞より】

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