1. TOPページ
  2. ストレートNEWS

Vol.7

中小製造、「農」に活路― 会津富士加工・透析患者向け野菜/成電工業・LEDで栽培装置

 中小製造業の農業分野への参入が相次いでいる。会津富士加工(福島県会津若松市)、成電工業(群馬県高崎市)の中小製造業2社が農業分野に本格参入、野菜販売と同時に装置の拡販を狙う。軌道に乗れば本業からの業種転換や子会社化も視野に入れる。国内でのモノづくりが厳しいなかで、空洞化生き残りをかけた中小企業の動きに拍車がかかりそうだ。(石掛善久)
 会津富士加工は富士通の下請け企業で、ウエハー製造装置の部品製作を手がけている。半導体不況の直撃を受けて先行き見通しが立たないことから、3年前から透析患者向けに需要が見込める低カリウムレタスに着目し農業分野進出を計画。2011年2月から半導体組立用クリーンルームを活用、生産に乗り出した。通常のリーフレタスと比べてカリウム含有量が、6分の1から7分の1のものを安定的に一日300株生産できるようにし、本格進出を決めた。
 生産はフランチャイズ化し、新設植物工場の企画設計や既存密閉型植物工場のリフォームを同社が実施して、栽培野菜を全量買い取り、透析専門病院や高級ホテル、スーパーに販売していく。
 全国の透析患者数から計算して一日13万株の生産・販売を目指しており、担当の鈴木広幸さんは「現在の売り上げは本業の年11億円だが、3年後にはメロン、イチゴ、トマトなども手がけ70億円規模にしたい」と話している。
 一方、成電工業も制御盤の設計製造、LED(発光ダイオード)蛍光灯、そして半導体の加工・検査などを手がけている。農業従事人口の減少、国際的な食料確保の困難化、自給率の低下が見込まれることから、食料工場事業に着目。5年前からまず「成電のあんしん野菜」の生産・販売で実績を確保、今回、量産設備の生産・販売にめどを付けたことから、本格展開する。
 販売する野菜栽培装置は一日当たりの栽培能力が1―1・5株のファミリーシリーズと、3―6株の店舗用プロフェッショナルシリーズの2タイプ。成電工業は従業員約80人、2012年4月期の年商は約22億円の規模だが、滝沢啓社長は「農業分野で今年度年商1億円、3年後5億円を目指したい」としている。
(会津富士加工 URL:http://www.afk-net.com/
(成電工業 URL:http://www.seidenkogyo.co.jp/
【2012年 11月 16日(金)付 日刊工業新聞より】


会津富士加工は低カリウムレタスを工場栽培

ページトップへ >>