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Vol.2

コンド電機(石川郡浅川町)


コンド電機 近藤善一社長

 「過去にない変化が始まっている。常に世界を意識していかなければならない」―。コンド電機(浅川町、近藤善一社長、0247・36・3400)は、東日本大震災後の自社を取り巻く経営環境を厳しく見つめている。1959年の創業の同社はサージアブソーバー、貫通コンデンサーなどの各種ノイズ対策部品や受託加工品を手がけている。取引先は自動車関連、情報機器関連、医療機器関連など幅広い。
 11年3月の大震災発生時、福島県内にある本社工場と会津工場(会津美里町)の生産設備は地震による大きなダメージはなかった。震災3日後には生産を再開。震災直後は物流網の混乱などもあり、仕事量が大きく落ち込んだが、現在は震災前の約70%の稼働となっている。震災から1年が経過。近藤社長は「震災後の歴史的な円高などを踏まえ、一段とグローバルな競争が高まっている」と強調する。
 震災からの生産再開では10年1月に始めた全社で取り組む「5S活動」が役に立った。徹底した5S活動の成果により、散乱した材料などをすぐに所定の場所に戻すことができ、「早期の生産再開につなげられた」(小浜祐子取締役)という。今年2月からは利益創出に向けた新たな5S活動をスタートした。事業継続計画(BCP)の策定も進めている。
 新たな取り組みとしては、県内の大学、企業と組んで市販軽自動車をベースとした2人乗り電気自動車(EV)の開発にも取り組んでいる。コンド電機はEV向けの回路構成品の開発を担う。同プロジェクトは昨年7月に東北経済連合会の助成事業、12月には新技術開発財団の助成事業にそれぞれ採択された。プロジェクトチームは8月をめどに成果を示す方向だ。
 地域から世界を意識するコンド電機。知的財産を重視したモノづくりが一つの特色でもある。国内外での特許取得に関しては、公的機関の支援制度などを積極的に活用している。今後、メーカーとして一段と知財を意識した経営を推進し、グローバル競争に立ち向かう方針だ。現在も2件の特許を出願しており「次の成長につなげていきたい」(近藤社長)としている。
(企業HP:http://www.kondodenki.com/
【12年3月13日付 日刊工業新聞より】

 

三洋鉄工所(いわき市)


三洋鉄工所 鈴木秀一社長

 三洋鉄工所(いわき市、鈴木秀一社長、0246・56・4521)は、化学プラント機器や一般タンク、機械部品の加工を手がける。船舶用の焼き玉エンジンの部品製造から会社を立ち上げ、今年で創業67年を迎える老舗だ。
 東日本大震災の時は、津波の被害は免れたものの、工場床が地割れしたほか、生産設備の位置がずれるなどの被害を受けた。これに東京電力福島第一原子力発電所の事故が重なり、「従業員の安全を確保するため1週間の休業を余儀なくされた」(鈴木社長)。生産設備自体に大きな被害はなく、製缶部門についてはすぐに生産を再開したが、機械設備の精度確認が必要な機械部品加工部門については、メーカーの技術者があまりの被災企業の多さにすぐに来てもらうことができず、全面稼働までに1カ月かかった。
 原発事故の影響では、発生直後から「放射線に汚染された製品は受け取れないと拒否された」(鈴木社長)などの風評被害に悩まされた。海外輸出向けの製品については、自社で放射線量を測定しデータを添付することで、顧客に受け入れてもらい急場をしのいだ。
 同社の強みは製缶工場と、平面度や平行度で厳しい精度保証が求められるベース部品などの機械加工工場を併せ持つことだ。設計、検査部門も充実しており、鈴木社長は「一貫生産体制の構築で、短納期や低コスト、高付加価値化を実現した」と、その競争力に自信を示す。今後は化学プラント機器にこだわらず成長が見込める新エネルギーや医療機器など、新規分野での製造装置の受注も推進するという。
 歴史的な円高が続き、企業の海外シフトが加速する中、「輸送コストが高い大物製品については今後も国内需要が見込める」(鈴木社長)との判断から、1月に最大径4000ミリメートルまで加工できる複合立型旋盤を新規導入した。大物製品への対応強化と、より高精度化、多様化する顧客ニーズに応えるため、3次元加工まで対応できる最新機種を選定した。
 鈴木社長は「当社は創業以来、『皆さまの工場』を社是としてきた。厳しい時代ほどこの精神が大切だ」と語り、初心を忘れず、激変する経済情勢にも順応できるよう企業体質の強化を急ぐ構えだ。
【12年2月14日付 日刊工業新聞より】

 

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